EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)は、BIG4の一角として転職市場で高い人気を誇るコンサルティングファームです。
経営戦略からDX推進、M&Aアドバイザリーまで幅広い領域を手がけ、グローバル規模のプロジェクトに携われる点が大きな魅力となっています。
一方で「選考の難易度はどの程度なのか」「未経験からでも挑戦できるのか」「年収水準は他ファームと比べてどうか」といった疑問を抱える方も多いのが実情です。
本記事では、EYSCの企業概要から転職難易度、選考フロー、職位別年収、具体的な面接対策、さらに他BIG4との比較まで、転職成功に必要な情報を体系的に解説します。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングとは?企業概要と転職人気の背景
EYSCの会社概要とグローバルネットワークの強み
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)は、世界四大会計事務所(BIG4)の一つであるErnst & Young(EY)グループの日本におけるコンサルティング法人です。EYグローバルは150カ国以上に約40万人の専門家を擁しており、その広大なネットワークを活かしたクロスボーダー案件への対応力が大きな強みとなっています。日本法人は2020年にEYトランザクション・アドバイザリー・サービスとEYアドバイザリー・アンド・コンサルティングが統合して発足し、さらに2023年7月にはブランド名称を「EYストラテジー・アンド・コンサルティング」へ変更しました。この統合とブランド刷新により、戦略立案からトランザクション、テクノロジー実装までをワンストップで提供できる体制が整っています。
現在の社員数は約8,000名規模にまで成長しており、日本国内のコンサルティングファームとしても存在感を増しています。主要サービスラインは大きく「ストラテジー」「コンサルティング」「トランザクション」の3つに分かれています。ストラテジー領域では経営戦略の策定や事業ポートフォリオの最適化を支援し、コンサルティング領域ではDX推進やサプライチェーン改革、人事組織変革などの実行支援を手がけています。そしてトランザクション領域ではM&Aアドバイザリーや企業再編、バリュエーションといった財務戦略に関するサービスを提供しています。これら3つの柱が有機的に連携することで、クライアント企業の課題に対して包括的なソリューションを届けている点がEYSCの特徴です。
転職市場でEYSCが注目される理由
コンサルティング業界全体が堅調な成長を続けていることが、EYSCへの注目度を高める大きな背景となっています。経済産業省が2023年に公表した「特定サービス産業動態統計調査」によると、経営コンサルティング業務の売上高は前年比で増加傾向を示しており、企業のDX投資や事業再編ニーズの高まりがコンサル市場を牽引しています。※参照:経済産業省 特定サービス産業動態統計調査
こうした市場環境のなかでEYSCが特に転職者から人気を集めている理由は複数あります。まず、EYグローバル全体が掲げる「People First」のカルチャーが挙げられます。社員一人ひとりの成長とウェルビーイングを重視する企業文化は、激務のイメージが根強いコンサル業界において差別化要因となっています。次に、ワークライフバランスへの具体的な取り組みとして、リモートワーク制度やフレックスタイム制度の積極的な導入が進んでいる点も見逃せません。さらに、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進に力を入れており、女性管理職比率の向上や多様なバックグラウンドの人材登用にも積極的です。そして他のBIG4と比較した場合、EYSCはまだ成長フェーズにあるファームとして位置づけられており、組織が拡大する過程で裁量の大きいポジションに就きやすいという点も、キャリアアップを志す転職者にとって大きな魅力となっています。
EYSCの組織構成とサービス領域
EYSCの組織は「セクター」と「ユニット」の二軸で構成されています。セクター軸ではクライアントの業界ごとにチームが編成されており、TMT(テクノロジー・メディア・テレコム)、金融サービス、公共・社会インフラ、ヘルスケア・ライフサイエンス、自動車・製造業、消費財・小売などの専門チームが存在します。一方、ユニット軸では提供するソリューションの種類ごとに組織が分かれており、ストラテジーユニット、ビジネスコンサルティングユニット、テクノロジーコンサルティングユニット、ピープルアドバイザリーサービスユニットなどが設置されています。
たとえば、TMTセクターに所属しながらストラテジーユニットの知見を活かして大手通信企業の中期経営計画を策定するプロジェクトもあれば、金融セクターとテクノロジーコンサルティングユニットが連携してメガバンクのDXロードマップを作成する案件もあります。このように二軸構造を採ることで、業界特有の深い知見と機能別の専門スキルを掛け合わせた高品質なサービス提供が可能となっています。転職者にとっては、自身の業界経験を活かしつつ新たなコンサルティングスキルを習得できる環境が整っている点が大きな利点です。
EYストラテジーの転職難易度|未経験・経験者・第二新卒パターン別に分析
全体の転職難易度と選考倍率の目安
EYSCへの中途転職の難易度は、コンサルティング業界全体のなかでも高水準に位置づけられます。BIG4各社とも中途採用における選考倍率は数十倍に達するとされており、書類選考の段階で多くの応募者がふるいにかけられます。近年はコンサル業界全体で中途採用数が増加傾向にあり、厚生労働省の「職業安定業務統計」でも経営コンサルタント関連の有効求人数は増加傾向を示しています。※参照:厚生労働省 職業安定業務統計
しかしながら、採用枠が拡大しているからといって選考基準が緩和されているわけではありません。むしろ、応募者の増加に伴い競争はより激しくなっている側面もあります。EYSCでは、論理的思考力やコミュニケーション能力に加え、同社が掲げる「Building a better working world」というパーパスへの共感度も重要な選考基準となっています。したがって、単にスキルや経歴を並べるだけでなく、なぜEYSCで働きたいのかという動機の質が合否を大きく左右すると考えておくべきです。
コンサル未経験者の転職難易度と突破のポイント
コンサルティング業界未経験からEYSCへの転職を目指す場合、難易度はさらに高くなります。未経験者にとって最大のハードルは、論理的思考力を選考の場で的確に証明する必要がある点です。コンサルタントとして働いた実績がないため、これまでの業務経験のなかで課題を特定し、分析し、解決策を導き出した具体的なエピソードを用意しておくことが重要になります。
加えて、志望するセクターやユニットに関連する業界知識を事前に習得しておくことも欠かせません。たとえば金融セクターを志望するのであればフィンテック動向や規制環境の変化、TMTセクターであればAI活用やデジタル広告市場の最新トレンドなどを把握しておくとよいでしょう。さらに、ケース面接への入念な対策は未経験者にとって避けて通れない関門です。フレームワークを暗記するだけでなく、自分の言葉でロジックを組み立てて説明する練習を繰り返し行うことが求められます。
評価されやすいバックグラウンドとしては、事業会社の経営企画職や事業開発職の経験者、金融機関(特にM&A部門や法人営業部門)の出身者、IT企業でプロジェクトマネジメントやシステム導入に携わった経験を持つ方などが挙げられます。いずれの場合も、クライアントや社内ステークホルダーを巻き込みながら課題解決を推進した経験が高く評価される傾向にあります。
コンサル経験者の転職難易度と評価されるスキル
他のコンサルティングファームからEYSCへ転職する場合、未経験者と比較すると選考通過率は高くなる傾向がありますが、決して容易というわけではありません。特にマネージャー以上の職位で応募する場合は、これまでのクライアントリレーションの構築実績やプロジェクトのデリバリー品質が厳しく審査されます。具体的には、どのような業界のどのような規模のプロジェクトをリードし、どのような成果を上げたのかを定量的に説明できるかどうかが鍵を握ります。
また、EYSCならではのカルチャーフィットも重要な評価ポイントです。他ファームでは個人のパフォーマンスが重視される傾向が強い場合もありますが、EYSCではチームワークやコラボレーションを重んじる文化が根づいています。そのため、面接の場では自身のリーダーシップスタイルがEYの価値観と合致しているかを問われるケースが多く見られます。チームメンバーの育成に尽力したエピソードや、複数のステークホルダーの利害を調整しながらプロジェクトを前進させた経験などを具体的に語れるよう準備しておくことが望ましいです。
第二新卒(社会人1〜3年目)がEYSCを目指す場合
社会人経験が1年から3年程度の第二新卒層がEYSCを目指すことも十分に可能です。EYSCでは第二新卒を対象としたポテンシャル採用枠を設けており、コンサルティングの実務経験がなくても、高い学習意欲と基礎的なビジネススキルがあれば選考の土俵に上がることができます。
ポテンシャル採用における評価基準としては、論理的思考力の素地があるかどうか、成長速度の速さを感じさせる実績やエピソードがあるかどうか、そしてEYSCのパーパスやカルチャーへの理解と共感があるかどうかが主な判断材料となります。入社後は新卒入社者と同等のトレーニングプログラムが提供されるため、コンサルタントとしての基礎スキルを体系的に学べる環境が整っています。ただし、最低限の実務経験として、プロジェクトベースでの業務推進経験やデータ分析の基礎力、ビジネス英語の基礎力などがあると選考で有利に働く傾向があります。
EYストラテジーの選考フローと各ステップの対策
選考フロー全体像(書類選考から内定まで)
EYSCの中途採用選考は、おおむね以下のステップで進行します。全体の所要期間は1カ月から2カ月程度が一般的ですが、応募するポジションや時期によって多少前後することがあります。
ポジションによっては面接回数が2回に短縮されるケースや、逆に追加面接が設定されるケースもあります。エージェントを経由して応募する場合は、各ステップのフィードバックを迅速に受け取れるメリットがあるため、効率的に選考を進めたい方にはエージェントの活用もおすすめです。
書類選考・適性検査で押さえるべきポイント
書類選考では、職務経歴書の完成度が合否を大きく左右します。EYSCの選考担当者が特に注目するのは、過去の実績を定量的に示せているかどうか、そしてEYSCが掲げる「Building a better working world」というパーパスとの接続が自然にできているかどうかの2点です。職務経歴書には「売上を前年比120%に改善」「プロジェクトメンバー10名のチームをリードし、3カ月で納品を完了」といった具体的な数値を盛り込むことを心がけましょう。また、志望動機の欄では、単に「コンサルタントとしてスキルアップしたい」という表現にとどめず、EYSCのパーパスやカルチャーに共感している理由を自身の経験と結びつけて記述することが重要です。
適性検査については、GABや玉手箱といった形式のWebテストが実施される傾向があります。言語・計数・性格の各セクションで構成されており、特に計数セクションは時間制限が厳しいため、事前に問題集を使って繰り返し演習しておくことが効果的です。合格ラインは公表されていませんが、コンサルティングファームの適性検査は一般的な企業よりも高い正答率が求められるため、しっかりと対策しておくことをおすすめします。
ケース面接の出題傾向と実践的な対策方法
EYSCのケース面接は、選考プロセスのなかでも特に通過のハードルが高いステップとされています。一般的にケース面接の通過率は20%から30%程度といわれており、十分な準備なしに臨むと突破は困難です。出題されるケースの種類としては、市場規模の推定(フェルミ推定)、特定企業の利益改善策の立案、新規事業の戦略検討などが代表的です。
対策のステップとしては、まず基本的なフレームワーク(3C、4P、バリューチェーン分析など)の使い方を理解することから始めるとよいでしょう。次に、市販のケース面接対策本やオンライン教材を活用して、さまざまなパターンの問題を解く練習を重ねます。そして仕上げとして、コンサル転職経験者やエージェントのコンサルタントを相手に模擬面接を行い、実践的なプレッシャーのなかでもロジカルに思考を展開できる力を養うことが大切です。EYSCのケース面接では、結論の正確さだけでなく、思考プロセスの透明性やコミュニケーションの質も評価されるため、考えながら相手に伝えるスキルを磨いておくことが重要です。
通常面接(ビヘイビア面接)で見られる3つの評価軸
ケース面接と並行して実施されるビヘイビア面接では、大きく3つの評価軸から応募者が判断されます。第一の軸は「入社後に長く活躍できるか」という点です。キャリアビジョンが明確で、EYSCでの成長イメージを具体的に語れるかどうかが問われます。「5年後にどのようなコンサルタントになっていたいか」といった質問には、EYSCのサービスラインやセクターの特性を踏まえた回答を準備しておきましょう。
第二の軸は「即戦力として貢献できるか」です。これまでの職務経験で得たスキルや知見が、EYSCの現在のプロジェクトにどう活かせるかを説得力を持って伝えることが求められます。たとえば「前職の製造業向けSCM改革の経験を、EYSCの製造セクター案件で活かしたい」といった具体的な接続が有効です。第三の軸は「EYのカルチャーにフィットするか」で、チームワーク重視の姿勢やDE&Iへの理解、パーパスへの共感度が確認されます。過去にチームで困難を乗り越えた経験や、多様な価値観の人々と協働して成果を出したエピソードを用意しておくと効果的です。
EYストラテジーの年収・待遇と他BIG4との比較
職位別の年収レンジ
EYSCの年収水準は、コンサルティング業界全体のなかでも競争力のある水準に設定されています。以下は、各種転職サイトの公開情報および転職エージェント経由で得られる情報をもとにした職位別の年収レンジの目安です。
| 職位 | 年次目安 | 年収レンジ(万円) |
|---|---|---|
| スタッフ/コンサルタント | 1〜3年目 | 500〜750 |
| シニアコンサルタント | 3〜6年目 | 700〜1,000 |
| マネージャー | 6〜10年目 | 1,000〜1,400 |
| シニアマネージャー | 10〜15年目 | 1,300〜1,800 |
| ディレクター | 15年目〜 | 1,700〜2,200 |
| パートナー | 実績による | 2,500以上 |
上記の年収にはベース給与に加え、業績連動のボーナスが含まれています。マネージャー以上の職位になるとボーナスの変動幅が大きくなり、個人およびチームのパフォーマンスによって年収に数百万円単位の差が出ることも珍しくありません。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均年収は約458万円(令和4年度)であり、EYSCの給与水準は全職位において平均を大きく上回っていることがわかります。※参照:国税庁 民間給与実態統計調査(令和4年分)
他BIG4ファームとの年収・待遇比較
転職先を検討する際には、他のBIG4ファーム(デロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティング、KPMGコンサルティング)との比較も重要です。以下に主な比較項目をまとめます。
| 比較項目 | EYSC | デロイト トーマツ | PwCコンサルティング | KPMGコンサルティング |
|---|---|---|---|---|
| 日本法人の社員数(推定) | 約8,000名 | 約5,500名 | 約4,600名 | 約2,000名 |
| マネージャー年収目安 | 1,000〜1,400万円 | 1,100〜1,500万円 | 1,100〜1,500万円 | 1,000〜1,400万円 |
| カルチャーの特徴 | People First・協調重視 | 総合力・大規模案件 | 戦略に強み・グローバル連携 | 少数精鋭・密なチーム |
| 成長フェーズ | 急拡大中 | 安定成長 | 安定成長 | 拡大中 |
| リモートワーク制度 | あり | あり | あり | あり |
年収水準についてはBIG4各社で大きな差はなく、マネージャーレベルで1,000万円から1,500万円程度のレンジに収まる傾向があります。ただし、EYSCは組織拡大フェーズにあるため、早期にマネージャーやシニアマネージャーに昇進できる可能性が他ファームと比較して高いという声も聞かれます。この点は中長期的な年収にも影響するため、単純な初年度年収だけでなくキャリアパス全体を見据えて判断することが大切です。
年収以外の待遇・福利厚生
EYSCでは年収以外の待遇面も充実しています。まず、各種社会保険はもちろん完備されており、確定拠出年

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